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第56回 🌸新年度(令和5年度)ご挨拶🌸 法人常務理事 田中 佳代子
今年も学園前土手の桜がきれいに咲き誇り、新年度の始まりを祝ってくれました。
そして4月9日はイースター(復活祭)でした。学園では、毎年子どもたちとゆで卵に絵を書き、十字架にかけられて亡くなられたイエス・キリストが、3日後に復活したことを祝います。これも春の訪れを祝うものです。
生命が芽生えるイースターの卵ように、学園も新しい職員を迎え、子どもたちも進学・進級と新しい環境の中で4月がスタートし息づいています。
私自身もまた1年、成長の時を与えられたことに感謝です。
去る3月、幼い頃から学園で過ごし、20歳まで在籍した女の子が社会へと旅立って行きました。
彼女は抱える家族の重みに真摯に向き合い、苦悩であえいだ時もありましたが、自分の道を外すことなく前を向いて進んでくれました。
ずっと一緒に悩んで寄り添った職員、その職員を支える職員、見守る仲間達。暗闇の時もありました。
何も出来ないで見守ることしかできない時もありました。
でも、子どもの可能性は無限大。彼女の一回り大きくなった姿にたくさんの職員が喜びの時を与えられました。
たくさんの職員が学園前で彼女を見送りました。また、顔を見せてくれる時が楽しみです。
毎年、何人かを送り出し、その成長に感動を抱き感慨にふける。
それもつかの間、新年度の準備に明け暮れる。そんなドラマが繰り広げられる学園です。
コロナが5類になって社会がどのように変わるのか、戦争や粉砕・災害がやまぬ世界がどのようになってゆくのか、不安も多い昨今ですが、どんな困難も決してあきらめず希望をもって、今年も皆が健康で歩めますように祈ります。
今年度も地域の方々、関係機関の皆様、お世話になりますがどうぞ宜しくお願い致します。
最後に
「いと小さくされたものへの受け止め手」となる寄り添いの大切さを学園に確立していただいた評論家の芹沢俊介氏が永眠されたという突然の悲報を受け、驚いた春でもありますが、
芹沢氏が残してくださった貴重なお言葉は今後も学園の指針として受け継がれていきます。
ありがとうございました。どうぞ、安らかにおやすみください。
2023.04.24
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第55回 🌸3月、春爛漫🌸 児童養護施設 鳥取こども学園 副園長 田村千亜紀
今年もこの季節がやってきました。
春、桜の季節です。
眼前に見事な桜並木の連なる鳥取こども学園に勤めるようになって20年超、日本の樹としてシンボリックでありながら(だからこそ?)たんぽぽやチューリップのような親近感や生活感のうすい桜ですが、学園にいると年に一度の桜色の季節が贅沢にも生活の一部となり、毎年満開の桜に言葉にならない幸福感を味わいます。
そして桜は、出会いと別れも運んできます。
今月は多くの子どもが卒業などの節目を迎え、その中の数人の子どもが学園を巣立っていきました。
今年度最後の養護の職員会は、私の手違いで急遽体育館開催となり、いつもと様子の違う円陣形式で一年を振り返り、退職者に餞の言葉を送りました。
副園長という大役をいただいて一年になります。
当初は「何も変わらないよ」と思っていましたが“立場”とはよくいったもので、立つ位置が変わると目に映る景色が本当に変わるのです。それをこれほど実感した時間はこれまでありませんでした。
そしてコロナ禍で人との関わりが希薄になって3年、「子どもも大人も人の中で生きているんだな。関係性の中で育っていくんだな」ということも改めて痛感しました。
桜の花言葉は『精神美』、目に見えるものや形あるものは時間と共に変化しますが、美しい桜並木のもたらす幸福感が私の心を豊かにするように、鳥取こども学園で過ごした時間がここを巣立つ子どもや大人のこれからの人生を豊かにしてくれたらと心から思います。
4月、桜は散りますが、新しい一歩を踏み出していきましょう。
2023.03.28
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第54回 🎄メリークリスマス&ハッピーニューイヤー🐇 社会福祉法人鳥取こども学園 理事長 藤野 興一
愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える。愛は絶えることがない(決して滅びない)。・・・それゆえ、信仰と、希望と、愛、この三つは、いつまでも残る。その中で最も大いなるものは、愛である。(コリントの信徒への手紙Ⅰ 13章4節~13節)
クリスマスは、イエス様のお生まれになった日です。
2022年は、クリスマスイブの12月24日が土曜日で、クリスマスの25日が日曜日でした。皆さんは、どんなクリスマスを過ごされたでしょうか。世界中で、華やかなクリスマスツリーが飾られ、「まばゆいばかりの光」にあふれたクリスマス行事が行われています。
イエス様は、子どもたちを前に神の国はこのような幼子のものであると説かれ、どんな人でも赦され、十字架にかかりながらも両脇の囚人を赦されたのです。クリスマスの灯は、本来そのような「やさしい光」です。新型コロナウイルス感染症は人間関係をバラバラにします。自然や心よりも目先のお金や物を大事にして、自分さえよければよいという考え方の愚かさを、このコロナウイルスは私たちに警告し、改めるよう迫っているのではないでしょうか。困難な時にこそお互いに助け合うことが求められています。現に全世界で子どもや若者の豊かな力によるさまざまな創造的助け合いがいたる所で展開されています。未来は明るいのです。
未来はその子どもたちの時代です。常に「子どもの人権」は守られねばなりません。「人権」は常に個別で、同じものは決してありません。同じ人でも時間や場所によって異なるものです。「今は制度がないから」とか「お金が無いから」という理由で先延ばししたりすることは決して許されないのです。
私も、2023年の9月23日で82歳となります。
敬愛する阿部志郎先生を目標にしながら100歳を目指し、みなさんの足手まといにならぬよう気を付けながら、「子どもの人権を守る最後の砦」としての社会的養護施設にもっと光を!と叫び続け、みなさんと共に、みなさんに学びながら、みなさんの仲間に加わり続けたいと思っています。幸い、学園の世代交代も進んでいます。
2023年も、よろしくお願いいたします。
2022.12.29