リレーブログ | 社会福祉法人 鳥取こども学園 - Part 10社会福祉法人 鳥取こども学園 | Page 10

社会福祉法人 鳥取こども学園は、キリスト教精神にもとづいて創立されました。その基本理念は『愛』です。

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  • 第41回 『思い描き続ける』自立援助ホーム鳥取フレンド・鳥取スマイル 統括寮長 田村 崇

    ☆4月より、自立援助ホーム鳥取フレンドと鳥取スマイルの統括寮長としての役割を受けました。
    あっという間に3ヶ月が過ぎてしまったというのが正直な感想です。

    ☆自立支援担当職員という役割も受けました。
    O.B.、O.G.支援を試行錯誤しながらではありますが、自然に寄り添えるよう心がけながら行なっているところです。

    ☆また、来年度へ向け、3つ目の自立援助ホーム開設のために動き始めています。3つのホームがうまく連携していけることを念頭に議論を進めています。今は物件探しを急いでいるところです。

    タイトルの”思い描き続ける“は、今現在のわたしのテーマです。

    思い

    思う、想像する、考える、、、。
    比較的多くの人が簡単にできること。
    固定観念に囚われず、自由にのびのびと発想することが肝。

    描き

    自分の中にひらめいたものを形にする作業。またその動きだし。
    この活動がなければ”思い“のままで終わってしまう。
    大切なのはまず、スタートを切ること。

    続ける

    実はこれが一番難しくって、、、。
    脳は新しい習慣を好まないらしく、3日坊主が起こるとか、、、。
    無理せずに休み、また始める!
    途切れたっていいんです。“許す”気持ちを持って
    とにかくまたすぐ進み始める。

    以上の3本柱を心に留めて、尊敬と感謝の気持ちを忘れずに邁進していきたいと思います。
    今後ともよろしくお願いいたします。


    2021.07.21

  • 第40回 ♪給食ってうれしいな♪ 幼保連携型認定こども園 鳥取みどり園 園長 西垣 恭子

    4月1日、鳥取市に「新型コロナ感染増大情報」が発令され随分怯えていましたが、その後感染状況も日を追うごとに落ち着き、去年出来なかった幼児部の親子遠足が5月13日には何とか出来そうだと喜んでいましたが、連休明けから感染人数が増えだしたことで、今年も残念ながら中止となってしまいました。雨天になっても「3密」が防げ安心して活動できるよう、それぞれの年次別に体育館を予約して当日を楽しみに待っていました。本当に残念でなりません。鳥取市でもワクチン接種がもっともっと進み、秋頃には親子みんなで賑やかに楽しめたらなあ…。と願うばかりです。


    さて、本園が31年間使ってきました給食室を今年の8月頃より増改築することは学園だより等で皆様もご周知のことと思いますが、0歳で入園する子どもたちも多くなる中、1日の内の1食とは言え6年間もの長い間、本園の給食を食べ続ける中で、心と体の力を獲得していく給食はとても大きな役割を担っていると言えます。この場を借りて、自園調理をしています本園の給食についてお話させていただきたいと思います。
    本園は朝7時に開園し、夕方の6時から延長保育が始まり19時で1日の保育を終了します。園の約束として朝は9時までの登園とし、8時前から8時30分頃までには殆どの子どもが登園し、園は大変賑やかになり、息を吹き返したかのような元気な園へと変わっていきます。
    このような登園状況ですが、中には、開園と同時にやって来て、夕方の7時近くまで園で過ごす子どももあります。12時間近く1日の半分は園で生活をしていることになります。このような園生活の場で、子ども達は午前おやつを食べてから友達と一緒に元気に体を動かして遊び、お腹が空いて給食を食べ、昼寝をして起きたらまた、おやつを食べて、遊んで…。このように、乳幼児の園生活の場は、食と関わる時間がかなりあることが分かっていただけると思います。
    さて、本園の給食ですが、本園の給食の特色は、和食中心の献立で旬の野菜や魚、果物を使って作る献立であり、おやつも出来るだけ手づくりとしています。この本園が特に大切にしています和食ですが、和食の魅力は何と言っても「旬」の味や色そのものを楽しむことにあると思います。このようなことから、本園では、子ども達にその時期や季節に美味しい旬の食材を知らせる取り組みとして、月に1回、給食時間帯に給食室の先生が各保育室へ出向いて行う「旬の話」という時間を設けています。これには、その日の給食で子ども達が食べている旬の野菜や魚の食材に調理の先生が変身し、クイズ形式で食材に興味・関心をもたせたり、食べることが楽しくなったりできるように進めてくれています。給食室の先生は、とてもユーモアがある先生達です。食材に変身することに手は抜きません。本物の食材そっくりになるまで工夫を凝らし、身も心も野菜や魚になり切ってくれます。また、クイズの時の子ども達への問いかけもとっても面白く、私たち大人も魅了されてしまう程です。給食室の先生と子ども達の距離が近くなるこの時間は、とても大切な食育教育の時間となっています。


              
    園前の桜並木を散歩していると給食室からいい匂いがしてきます。給食室の前の廊下を通ると、カシャカシャと食器やお玉を揃える音も聞こえてきます。音や匂いで子どもたちは給食の時間が近づいてきたことが分かり、わくわくしてきます。
    食欲は、生きるうえで必要な本能のうち、最も強いものだと言われています。本園の美味しい給食を食べて育つ子どもたちが、友達と一緒に食べることを楽しみ、心も体も元気に育ってくれることを願います。
    最後になりましたが、6月よりインターネットを使った寄付集め「クラウドファンティング」を行います。

    キャンペーントップページです

    手狭な給食室が広くなり調理しやすい厨房機器も入ることで、給食室の先生たちが働きやすくなると笑顔がもっともっと増えるであろうし、その笑顔は美味しい給食作りへと繋がり、子ども達の笑顔もどんどん広がっていくであろう…。そう夢見ると嬉しくなってきます。
    多くの皆様に応援いたただきながら、鳥取みどり園が頑張らせていただいていますことに感謝申し上げます。


    2021.06.01

  • 第39回 『事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!』 鳥取こども学園 副園長 藤野 謙一

    2021年5月5日(こどもの日)記

    学園は家族であり、ルーツである
     2021年2月、鳥取こども学園(以下、学園)OBのSさん78歳の葬儀が行われました。血縁者は誰もおらず学園職員などに囲まれて天へ召されました。一人暮らしで末期ガンだったので、OB仲間のいるシェアハウスをSさんが住みやすいように改修工事をしていましたが間に合いませんでした。Sさんは小学4年から鳥取こども学園で生活し、退所後は波乱万丈な人生を経て、晩年は学園の職員となりました。職員になる前から天に召される直前まで、いつも学園事務所に立ち寄り職員と昔話をしたり雑談を楽しんだりしていました。Sさんの遺品整理をしていると、「自分は人のために何をしてきたか?」という自分を卑下する文章が出てきました。人生の壁にぶち当たって、一人孤独に苦悩された足跡です。しかし、晩年は人のために尽くしました。学園の利用者・子どもたちみんなでお別れをしたとき、ある利用者が「僕はSさんに何もお供えできないけど、飴玉なら持っている」と遺影の前にポケットから取り出した飴玉をお供えしました。また、ある利用者は「そういえばSさんは甘い物が好きだったから、バレンタインのチョコをあげよう」と言ってくれました。「人のために尽くした」証(あかし)をもらい、Sさんも天国で喜んでいると思います。
     学園のOB・OGの葬儀は様々です。中には高齢で知った職員も少なく、通夜も数人で葬儀は学園職員を集めて行われる場合もあります。その人その人の人生を最後まで見届け、人間の尊厳を守ります。また、中には県外で天に召されて、遺骨がいつまでたっても学園に届かない場合があります。血縁関係でなければ遺骨は引き取れないとたらい回しにされて最終的に学園に届くのです。そのときには「天に召されてまで、人間の尊厳が侵されるのか!」と怒りを感じます。遺骨は学園のお墓に収められます。
     学園のOB・OGたちは大人になり、自分のルーツ探しのために連絡してきます。最近もあるOBが自分のルーツを探しに学園を訪れました。自分の中で20年以上もポッカリと穴が開いていたルーツが一つなぎの物語として完成したことに喜び、「映画『かぐや姫の物語』主題歌の『いのちの記憶(作詞/作曲:二階堂和美)』の歌詞に『いまのすべては、過去のすべて』とあるけど、本当にその通りだと思う」と言っていました。

    事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!
     前述した内容は学園の営みのごく一部です。数字では表せない、教科書には載っていない、もっと多くのことを施設現場の職員はやっています。これらのことは言葉にしにくく論文も書きにくいのです。また、世間様に知らせたくても人権の観点から大々的にアピールできることは限られていることもあります。特に、現場の職員は目の前の子どもや利用者、保護者に対応することに精いっぱいで外に発信する余裕はあまりありません。上手に言葉にすることも苦手です。
    そんな中で、2017年に施設現場をよく知っている研究者からも批判のあった「新しい社会的養育ビジョン(新ビジョン)」が施設現場(施設の職員や施設で生活している子どもやOB・OG)の声を聴かずして作成され、現在は既にその新ビジョンに出された方針で国は動いています。里親を増やしていくという内容は良いのですが、重篤な状況にある子どもは施設に、そうでない子どもが里親に行くといった直線的な発想で固定化した方針をとっています。学園の子どもたちやOB・OGにそのことを聞いてみると「里親で生活して合わなかったらどうするの?どこかへ異動しないといけないの?私たちに選ぶ権利はないの?たまったもんじゃない」と言っています。ダグハマーショルド元国連事務総長が「大衆を救うために、勤勉に働くより、一人一人の為に全身全霊を捧げる方が気高いのである」と言っているように、里親か施設かというのは、制度で固定化して決めるべきではなく、一人一人の子どもに全身全霊を捧げて子どもの声を聴きながら決めていくべきだと思います。施設のことは、研究者等よりも現場職員やそこで生活する子どもたちの方が何十倍も知っていますが、今は施設現場の職員や子どもたちの声を届ける道すらない状態で制度の方向性が固定化されて進んでいます。このもどかしさや怒りで、思わず次のような言葉を言わずにはいられません。「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!(劇場版『踊る大捜査線』のクライマックスで、ついにブチ切れた青島俊作が偉い人たちに対して発した怒りのセリフ)」

     

     今日は「こどもの日」です。子どもたちを取り巻く社会は大変な状況になっています。しかし、皆様のご理解とご支援によって、我々は子どもたち・利用者さんたち・保護者さんたちと前へ進んでいけます。多くのご支援くださっている方々へ、この場を借りて深く感謝いたします。

     


    2021.05.06