リレーブログ | 社会福祉法人 鳥取こども学園 - Part 2社会福祉法人 鳥取こども学園 | Page 2

社会福祉法人 鳥取こども学園は、キリスト教精神にもとづいて創立されました。その基本理念は『愛』です。

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  • 第40回 ♪給食ってうれしいな♪ 幼保連携型認定こども園 鳥取みどり園 園長 西垣 恭子

    4月1日、鳥取市に「新型コロナ感染増大情報」が発令され随分怯えていましたが、その後感染状況も日を追うごとに落ち着き、去年出来なかった幼児部の親子遠足が5月13日には何とか出来そうだと喜んでいましたが、連休明けから感染人数が増えだしたことで、今年も残念ながら中止となってしまいました。雨天になっても「3密」が防げ安心して活動できるよう、それぞれの年次別に体育館を予約して当日を楽しみに待っていました。本当に残念でなりません。鳥取市でもワクチン接種がもっともっと進み、秋頃には親子みんなで賑やかに楽しめたらなあ…。と願うばかりです。


    さて、本園が31年間使ってきました給食室を今年の8月頃より増改築することは学園だより等で皆様もご周知のことと思いますが、0歳で入園する子どもたちも多くなる中、1日の内の1食とは言え6年間もの長い間、本園の給食を食べ続ける中で、心と体の力を獲得していく給食はとても大きな役割を担っていると言えます。この場を借りて、自園調理をしています本園の給食についてお話させていただきたいと思います。
    本園は朝7時に開園し、夕方の6時から延長保育が始まり19時で1日の保育を終了します。園の約束として朝は9時までの登園とし、8時前から8時30分頃までには殆どの子どもが登園し、園は大変賑やかになり、息を吹き返したかのような元気な園へと変わっていきます。
    このような登園状況ですが、中には、開園と同時にやって来て、夕方の7時近くまで園で過ごす子どももあります。12時間近く1日の半分は園で生活をしていることになります。このような園生活の場で、子ども達は午前おやつを食べてから友達と一緒に元気に体を動かして遊び、お腹が空いて給食を食べ、昼寝をして起きたらまた、おやつを食べて、遊んで…。このように、乳幼児の園生活の場は、食と関わる時間がかなりあることが分かっていただけると思います。
    さて、本園の給食ですが、本園の給食の特色は、和食中心の献立で旬の野菜や魚、果物を使って作る献立であり、おやつも出来るだけ手づくりとしています。この本園が特に大切にしています和食ですが、和食の魅力は何と言っても「旬」の味や色そのものを楽しむことにあると思います。このようなことから、本園では、子ども達にその時期や季節に美味しい旬の食材を知らせる取り組みとして、月に1回、給食時間帯に給食室の先生が各保育室へ出向いて行う「旬の話」という時間を設けています。これには、その日の給食で子ども達が食べている旬の野菜や魚の食材に調理の先生が変身し、クイズ形式で食材に興味・関心をもたせたり、食べることが楽しくなったりできるように進めてくれています。給食室の先生は、とてもユーモアがある先生達です。食材に変身することに手は抜きません。本物の食材そっくりになるまで工夫を凝らし、身も心も野菜や魚になり切ってくれます。また、クイズの時の子ども達への問いかけもとっても面白く、私たち大人も魅了されてしまう程です。給食室の先生と子ども達の距離が近くなるこの時間は、とても大切な食育教育の時間となっています。


              
    園前の桜並木を散歩していると給食室からいい匂いがしてきます。給食室の前の廊下を通ると、カシャカシャと食器やお玉を揃える音も聞こえてきます。音や匂いで子どもたちは給食の時間が近づいてきたことが分かり、わくわくしてきます。
    食欲は、生きるうえで必要な本能のうち、最も強いものだと言われています。本園の美味しい給食を食べて育つ子どもたちが、友達と一緒に食べることを楽しみ、心も体も元気に育ってくれることを願います。
    最後になりましたが、6月よりインターネットを使った寄付集め「クラウドファンティング」を行います。

    キャンペーントップページです

    手狭な給食室が広くなり調理しやすい厨房機器も入ることで、給食室の先生たちが働きやすくなると笑顔がもっともっと増えるであろうし、その笑顔は美味しい給食作りへと繋がり、子ども達の笑顔もどんどん広がっていくであろう…。そう夢見ると嬉しくなってきます。
    多くの皆様に応援いたただきながら、鳥取みどり園が頑張らせていただいていますことに感謝申し上げます。


    2021.06.01

  • 第39回 『事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!』 鳥取こども学園 副園長 藤野 謙一

    2021年5月5日(こどもの日)記

    学園は家族であり、ルーツである
     2021年2月、鳥取こども学園(以下、学園)OBのSさん78歳の葬儀が行われました。血縁者は誰もおらず学園職員などに囲まれて天へ召されました。一人暮らしで末期ガンだったので、OB仲間のいるシェアハウスをSさんが住みやすいように改修工事をしていましたが間に合いませんでした。Sさんは小学4年から鳥取こども学園で生活し、退所後は波乱万丈な人生を経て、晩年は学園の職員となりました。職員になる前から天に召される直前まで、いつも学園事務所に立ち寄り職員と昔話をしたり雑談を楽しんだりしていました。Sさんの遺品整理をしていると、「自分は人のために何をしてきたか?」という自分を卑下する文章が出てきました。人生の壁にぶち当たって、一人孤独に苦悩された足跡です。しかし、晩年は人のために尽くしました。学園の利用者・子どもたちみんなでお別れをしたとき、ある利用者が「僕はSさんに何もお供えできないけど、飴玉なら持っている」と遺影の前にポケットから取り出した飴玉をお供えしました。また、ある利用者は「そういえばSさんは甘い物が好きだったから、バレンタインのチョコをあげよう」と言ってくれました。「人のために尽くした」証(あかし)をもらい、Sさんも天国で喜んでいると思います。
     学園のOB・OGの葬儀は様々です。中には高齢で知った職員も少なく、通夜も数人で葬儀は学園職員を集めて行われる場合もあります。その人その人の人生を最後まで見届け、人間の尊厳を守ります。また、中には県外で天に召されて、遺骨がいつまでたっても学園に届かない場合があります。血縁関係でなければ遺骨は引き取れないとたらい回しにされて最終的に学園に届くのです。そのときには「天に召されてまで、人間の尊厳が侵されるのか!」と怒りを感じます。遺骨は学園のお墓に収められます。
     学園のOB・OGたちは大人になり、自分のルーツ探しのために連絡してきます。最近もあるOBが自分のルーツを探しに学園を訪れました。自分の中で20年以上もポッカリと穴が開いていたルーツが一つなぎの物語として完成したことに喜び、「映画『かぐや姫の物語』主題歌の『いのちの記憶(作詞/作曲:二階堂和美)』の歌詞に『いまのすべては、過去のすべて』とあるけど、本当にその通りだと思う」と言っていました。

    事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!
     前述した内容は学園の営みのごく一部です。数字では表せない、教科書には載っていない、もっと多くのことを施設現場の職員はやっています。これらのことは言葉にしにくく論文も書きにくいのです。また、世間様に知らせたくても人権の観点から大々的にアピールできることは限られていることもあります。特に、現場の職員は目の前の子どもや利用者、保護者に対応することに精いっぱいで外に発信する余裕はあまりありません。上手に言葉にすることも苦手です。
    そんな中で、2017年に施設現場をよく知っている研究者からも批判のあった「新しい社会的養育ビジョン(新ビジョン)」が施設現場(施設の職員や施設で生活している子どもやOB・OG)の声を聴かずして作成され、現在は既にその新ビジョンに出された方針で国は動いています。里親を増やしていくという内容は良いのですが、重篤な状況にある子どもは施設に、そうでない子どもが里親に行くといった直線的な発想で固定化した方針をとっています。学園の子どもたちやOB・OGにそのことを聞いてみると「里親で生活して合わなかったらどうするの?どこかへ異動しないといけないの?私たちに選ぶ権利はないの?たまったもんじゃない」と言っています。ダグハマーショルド元国連事務総長が「大衆を救うために、勤勉に働くより、一人一人の為に全身全霊を捧げる方が気高いのである」と言っているように、里親か施設かというのは、制度で固定化して決めるべきではなく、一人一人の子どもに全身全霊を捧げて子どもの声を聴きながら決めていくべきだと思います。施設のことは、研究者等よりも現場職員やそこで生活する子どもたちの方が何十倍も知っていますが、今は施設現場の職員や子どもたちの声を届ける道すらない状態で制度の方向性が固定化されて進んでいます。このもどかしさや怒りで、思わず次のような言葉を言わずにはいられません。「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!(劇場版『踊る大捜査線』のクライマックスで、ついにブチ切れた青島俊作が偉い人たちに対して発した怒りのセリフ)」

     

     今日は「こどもの日」です。子どもたちを取り巻く社会は大変な状況になっています。しかし、皆様のご理解とご支援によって、我々は子どもたち・利用者さんたち・保護者さんたちと前へ進んでいけます。多くのご支援くださっている方々へ、この場を借りて深く感謝いたします。

     


    2021.05.06

  • 第38回 『新年度を迎えて、改めて感謝を伝えたい』 社福)鳥取こども学園 業務執行理事・児童養護施設長 田中佳代子

    今年も学園前土手の桜並木は華やかに風情を醸し出してくれています。
    鳥取こども学園 桜
    鳥取こども学園(理事長 藤野興一)は法人115年の節目に当たり、栄えある『石井十次賞』をいただくこととなりました。115年間、鳥取こども学園に子どものいない時はなく、子どもたちや施設出身者、歴代職員、地域の皆様方の力添えを受け、創設者であるクリスチャンの精神『愛』を大切に守り、神様に見守られて歩ませていただけたことに改めて感謝を伝えたいと思います。新年度を迎え、今一度襟を正して今後も歩みますので、皆様のご理解・ご協力・ご指導よろしくお願い致します。

    春は、別れと出会いの季節。児童養護施設:鳥取こども学園も3月末から県外への進学、就職自立、家庭復帰と子どもたちを見送る日々が続きました。前年度は、家庭復帰の子どもが例年より多く、5人の卒園と11人の家庭復帰で、一気に16人もいなくなり、例年にない寂しさを感じています。とはいえ、すべての子どもたち・保護者に「つながり続けさせてください」とお願いしており、今後も折りに触れ、私含め職員が見守らせていただけることが喜びです。皆の新しい歩みが幸多きものとなるよう祈ります。

    法人が営む他の事業(児童心理治療施設や乳児院含む13事業)も、同じく新たな気持で新年度を迎えています。全国・世界中どこでも同じ状況だと思いますが、昨年来のコロナ禍で、いろいろなことが様変わりしてしまいました。学園も行事はすべて中止、県外出張もなし、不要な外出の自粛等、人との交わりが極度に減り、リフレッシュの機会やコミュニケーションを取る場面が減りました。マスク着用の日常で相手の表情も読みづらくなり、感知能力も低下したのではと心配します。先日、飲み物を口にするためにマスクを外した職員の顔を久しぶりに見て『こんな顔していたかな。むくんでいるのかな。』と思わず感じた時、これは一大事と思いました。久しぶりに会った地域小規模児童養護施設の子どもの顔がお姉さんらしくなったと感じた時もそうです。当たり前にわかっていたつもりがわからなくなっているのではという不安です。ホーム職員は子どもたちがコロナによる不便さを感じないように、自然を相手に活動したり、楽しみの場を提供するなど、『よく考えるなぁ』と感心する寄り添いをしてくれており、感動と感謝の連続です。今年度はコロナ感染予防だけに終始するのではなく、『どうしたら出来るか』という視点のもと、新たな動きを模索したいと思います。

    『ピンチはチャンス』という言葉があります。
    子どもや保護者の問題が浮上した時は、子どもや保護者と距離を縮める絶好のチャンスでした。同じ視点で『ピンチ』を『チャンス』に換える前向き思考を持ち、多彩な職員の力を借りながら、当たり前の生活を少しでも取り戻す年に出来たらと思います。

    私個人は、学園生活45年目と節目の年となりました。

    多くの子どもたち(OB・OG)に支えられ、多くの子どもたちや保護者、そして職員と紡いだ数々のドラマは私の財産であり、鳥取こども学園を愛する基盤となっています。微力ではありますが、慈善事業時代から子どもたちに寄り添い続けてきた歩みをしっかりと若い力に伝えていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願い致します。


    2021.04.03