リレーブログ | 社会福祉法人 鳥取こども学園 | Page 3

社会福祉法人 鳥取こども学園は、キリスト教精神にもとづいて創立されました。その基本理念は『愛』です。

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  • 第16回 「中国地区里親大会を終えて」里親支援とっとり 吉田 信彦

     去る平成28年5月28日から29日に、米子全日空ホテルにおいて、第63回中国地区里親大会を開催しました。200人強の方が参加され、盛会のうちに終了しました。この大会は、中国地区の里親と関係者が一堂に会して、養育の問題や里親制度の現状などの議論と研修を行うものです。里親支援とっとりは、鳥取県里親会事務局として大会を運営しました。
     基調となる講演では、子育て王国のリーダーとして、平井知事に里親への想いを語っていただきました。
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     観光から子どもの施策にいたるまで、鳥取県の取り組みを大変テンポよく、また、お得意のダジャレも交えてお話いただきました。鳥取県のトップが児童福祉についてしっかりとお話下さる姿に感慨ひとしおでした。
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     また、鳥取短期大学・鳥取看護大学山田修平理事長に「命の呼応~人を育む、自分を育む~」と題して御講演をいただきました。
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     先人たちのことばを引用され、大変にエネルギッシュで示唆に富んだお話は、里親養育に携わる方々にとって大きな学びとなったと思います。
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     懇親会では、伯耆町の鬼面太鼓振興会さんなどが、大変に盛り上げて下さり、中国五県の里親並びに里親の支援者が、多いに親睦を深めました。

     各分科会は、今と未来の問題を取り上げ企画しました。  

     分科会①は「社会的養護の両輪となって~児童福祉施設と里親との連携~」
       施設と里親の相互理解と連携のあるべき姿について語り合いました。それぞれの立場の方から盛んに発言があり、熱い意見交換となりました。  

     分科会②は「実際どうなの!?お金の話」という企画
       ファイナンシャルプランナーの方を助言者にお迎えし、措置費制度が対象としない経費などについて意見交換しました。「子どもの育ちに対して、どういったお金が必要なのか。今後、子どもが自立して社会に羽ばたいていくにあたり、経済観念をどうやって教えていくのか」ということなどについて、熱心なディスカッションが行われました。  

     分科会③は「しっかりご存知?発達障がい」
       山陰労災病院長大野耕策医師を助言者にお迎えし、発達障がいの最新の情報を提供していただき、養育上の悩みにお答えいただきました。大野先生のお人柄どおり、優しく、わかりやすくお話いただき、参加者から大変に勉強になったとの声を多く聞きました。  

     分科会④は「施設と里親どっちがすごい!?」
        どんな子どもがどんな時に、里親に、又は施設に委託されるべきか討論しました。ディベートの手法を取り入れ、鳥取県里親会東部部会長の藤田里父と、鳥取こども学園竹下里親支援専門相談員がテンポよく進行し、参加者から「まだ話し足りない!」という声があがるほどの盛り上がりでした。

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     多くの方のご支援をいただき、参加された方たちに、実りある学びを提供することができたと思います。また、運営した里親会員と、運営協力して下さった行政・児童福祉施設職員の方々とのパートナーシップも、更に深まったと思います。参加された方々、運営した側双方が、大変にエンパワーメントされたのではないかと、手前味噌ながら感じた、そんな大会でした。

     御参加いただいた中国地区の里親の皆様、関係機関の皆様、鳥取県内の里親・関係機関の皆様 ありがとうございました。


    2016.06.17

  • 第15回 『新年を迎えて 皆様へのメッセージ』 法人常務理事 藤野興一

    謹 賀 新 年

    「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、御心にかなう人にあれ。」(ルカ:2-14)
    神様に守られ生かされて、新年を迎えられますことに感謝申し上げ、皆様の格別のご支援に心からお礼申し上げます。

     学園にたどり着く子どもたちも厳しい道をけなげに生きています。歴史の未来である子どもたちに真っ赤に燃える太陽のように輝いて歩んでほしいといつも祈ります。
     しかし、私たち大人の非力を痛感します。私たち自身が輝いて生き、子どもたちに生まれてきてよかったと思える世界を残したいと切に願います。
     一期二年の二期目を迎えている全国児童養護施設協議会会長の活動も、お蔭様で2015年4月から、あまりにも低すぎた施設最低基準を「社会的養護の課題と将来像」のレベルにまで引き上げることが出来ました。ご支援いただいた関係各位に心よりお礼申し上げます。

     40年振りに大幅な職員配置増の予算が付いたとは言え、70万人の保育士不足と言われる現状では、人材確保困難に遭遇し、児童虐待の増加や子育ての行き詰まりに対応できず、人材育成と施設養育の質的強化が緊急課題となっています。
     2015年度を初年度とする「社会的養護の課題と将来像(以下「課題と将来像」)」実現に向けた歩みを確かなものにしたいと願います。

     しかし私は、「乳児院をはじめとする施設は悪で、里親が善である。一刻も早く施設から子どもを救出して里親や養子縁組を進めるべきだ。施設は金がかかりすぎ、里親は安くつく。」という論調が声高に叫ばれ、一部の学者も含めて政治的働きかけも行われ、勢いを増していることに危機感を覚えています。「施設内虐待」も多く語られていますが、児童養護施設に29,000人、乳児院に3,000人、里親に4,000人が措置されていて、里親家庭での虐待死事件と施設での虐待死事件を比べても里親の方が数的にも多いのです。こんな議論はしたくありませんが、施設に金をかけなさすぎたので施設での人権侵害を生み出してきたのであり、虐待や貧困の連鎖を断ち切るためにももっと社会的養護に税金を投入すべきなのです。「課題と将来像」は国連の子どもの権利委員会からの3度に渡る日本政府への勧告を受け、施設と里親と連携して子どもたちを社会で守り抜く体制を作ろうとする国としての計画です。

     今、社会的養護を必要としている子どもたちは戦災孤児の時代と違い、90%以上の子どもたちに親がいます。どんなにひどい虐待を受けた子どもでも、親に対して「いい子になるから迎えに来てね」と言い、子どもは親を求めて止まないのです。児童虐待への対応は親への支援が欠かせません。施設や里親は子どもを預かって育てるだけではなく、児童虐待予防も含む地域児童福祉の拠点としての役割が新たに求められています。

     戦後70年、児童養護施設は戦災孤児の保護・収容から始まり、ベビーブームの頃には乳幼児を、「非行」がピークの頃には「非行少年」たちを、不登校や引きこもりが社会問題化すれば不登校児童を、今は被虐待児や発達障害児が社会問題化しており、その受け皿となっています。多くの児童養護施設は、戦後70年、社会的養護を担い続け、地域児童家庭支援・社会的養護実践における多くのノウハウを蓄積してきたと自負しています。

     施設は里親育成支援の役割を果たしうるし、手厚い里親支援がないままに施設をつぶして里親へ移行せよとする主張は無謀であり危険です。大舎であろうが小舎であろうが里親であろうが養子縁組であろうが子どもの人権は守られねばならないのです。今、子どもたちの人権は学校でも施設でも地域でも家庭でも極めて危機的状況にあるのです。施設に繋がっている子どもはまだマシで、地域に放置されている子どもたちがもっとピンチだと言わねばなりません。
     2016年が日本の社会的養護にとって新しい地平を切り開く年となりますよう共に歩みたいものです。今年110周年を迎える鳥取こども学園はキリスト教社会事業の献身性と先駆性を掲げてその先頭に立って歩みたいと思います。

        2016年 元旦  

    社会福祉法人鳥取こども学園常務理事・園長(全国児童養護施設協議会会長) 藤野興一 


    2016.01.01

  • 第14回 「鳥取養育研究所の学園歴史資料整理、そして研究へ」 鳥取こども学園 山本隆史

     鳥取こども学園の前身である鳥取孤児院が1906(明治39)年1月13日に創設されて来年で110周年の節目を迎えます。この長い歴史の中でたくさんの文書、書籍、写真が数年前まで、きちんと整理されることなく保管されてきました。
     そのような中、山陰の児童福祉史研究のための資料を探されていた徳山大学の小池桂先生(現、京都ノートルダム女子大学教授)との貴重な出会いがありました。小池先生より、鳥取県は中国5県の中で、唯一社会福祉通史の研究がない県であり、鳥取県内主要機関には、ほとんど資料が残されていないのとのこと。
     先生のご協力・ご助言をいただきながら平成20年度から鳥取養育研究所の事業として、まずはどのような資料があるのか整理から開始いたしました。保管については劣化の激しい資料もあることから、まずは全文書類のデジカメによる複写が昨年度に完了し、いわばある程度研究の土台作りができたところです。
     歴史分析なくして、現在の社会福祉を客観的に捉えることはできませんし、何よりも展望ある未来を描くことはできません。今後はこれらの資料の公開方法、この資料に基づく鳥取県の社会福祉史の研究と勉強会ということがメインになります。

    【保管されている写真から見える1コマ】
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     写真のモーニングコートにシルクハット姿で子どもたちに挨拶をしている人物が、第19代内閣総理大臣、「平民宰相」として有名な原敬です。その左の和装の人物が鳥取こども学園の創立者尾崎信太郎です。私が、データ化された文書類を調べてみましたが、どこにも原敬が鳥取育児院に来訪したという記載を見つけることができていません。
     そこで、『原敬日記(はらけいにっき)』を調べてみると原敬は、2度鳥取を来訪しています。一度は明治40年(1907)5月4日~5日。内務大臣として皇太子嘉仁親王(後の大正天皇)の行啓沿道を事前視察する、いわゆる皇太子宿泊所となる池田侯爵別邸扇御殿等がきちんと整備されているかどうかの確認視察のためです。この宿泊所扇御殿が、現在のの『仁風閣』です。もう一度は、明治45年(1912)。内務大臣と兼務していた鉄道院総裁として山陰鉄道開通式のために鳥取を来訪しています。
     但し、この「原敬日記」には、いずれの来鳥についても「鳥取育児院」という文言は出てきません。
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     もう1つの写真は、内務省より感化救済事業奨励助成金が下付された旨を記した送付状のようですが、日付が明治44年11月3日となっています。これより3年前、明治41年から内務省は民間慈善を奨励することを目的に、この助成金を民間事業団体に下付しています。明治45年の来鳥時に、奨励助成金を下付した鳥取育児院が、鳥取県庁舎と同じ鳥取市東町にあるので、内務大臣として視察したのでは・・・と考えられますが、あくまで私見ですので、真実の程は分かりません。


    2015.12.09