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里親支援とっとりブログ

  • ある病院のリハビリトレーナーさんのお話

     

    里親支援とっとり 所長 遠藤 信彦

     これは「とてもためになる話だったから、法人のブログに書いて良いか」と許可を得ているので書く話なのですが、親しい里親さんが長期の入院をしておられました。足の関節を治療するもので、大手術であり、長い入院だったのですが、もうすぐ退院されます。もともと元気な方で、健康的な生活をされていたのですが、手術・治療の成果で足の痛みが無くなり、加えて毎日過密スケジュールでのリハビリトレーニングをされるものですから、ますますに輪をかけてお元気でいらっしゃり、ハツラツとしたお声で、入院生活レポートの電話をくださいます。

     退院日が決まった先日、こんな話をしてくださいました。「なごり惜しいとまでは言わないものの、この病院、なにからなにまで本当に快適だったわ。一番良かったのは、スタッフのみなさんが親切でよく気が付かれること。どんな社員教育をしていらっしゃるのかしら。一番はトレーナーさんだったわ。リハビリは、なかなかにハードで、時にはピリッと治療の跡がうずくこともあるのだけど、そんな時トレーナーさんは『あなたのここのところのスジは、もともと、ここからこういった感じにつながっているんだけど、今、こうこうこういった治療段階で、こうこうこうなって突っ張っているかもしれないけど、治っていっているところだから、大丈夫!じゃあ!もうちょっとがんばりましょう!』といったふうに、やさしく、わかりやすく、丁寧に教えてくださるの。自分のからだじゃないのに、人のからだのことを、よく分かるもんだわと感心したわ。結局、がんばらさせられるのだけど、それがいやじゃないっていうか、がんばっちゃうというか、ああ、そういうことなら安心だから、よくなるんだからちょっとくらい痛くてもがんばろう!っていう感じ。あの人が里親したらいい養育されるわ、きっと」という話です。

     この話を聞いて感銘を受けました。当たり前ですが、医療関係者さんは、人のからだの仕組みや、病気のメカニズムと、治療の経過をよくご存知です。リハビリのトレーナーさんであれば、幼い子どもから高齢の方まで付き添われますので、その患者さんの、そのときそのときのからだの状態を、その方その方に分かるように、丁寧に言葉を選んで説明されるのでしょう。それにより、信頼を得て、安心を与え、からだを預かるのですね。そこからさらに、治療に向かうためのやる気まで引き出すのですから大したものです。

     自分をかえりみたところ、自分は制度を分かっているのか、養育のことが分かっているか、その方のご苦労が分かっているのか、その人に伝わる伝え方が出来ているのか、何より、励みになっているのか、などなど、トレーナーさんに見習って精進しなくてはいけない、と、切に思いました。


    2020.11.24

  • ボツテーマ 『子どもの文化から子どもの心を知る~子どもが夢中になるマンガ・アニメのひみつ』

    里親支援とっとり 所長 遠藤 信彦

     

     来年度、鳥取県で行う中国地区里親大会の、基調講演・分科会テーマ選定のため、里親会役員が熱心な討論を行いました。今、里親さんが実際に学びたいこと、今、旬な話題に主眼を置き、たくさんの魅力的なアイデアが生まれました。最終的に5つまで絞り込みましたので、惜しくもボツとなった名案が多々あります。

     ボツ案のひとつに『子どもの文化から子どもの心を知る~子どもが夢中になるマンガ・アニメのひみつ』というものがあります。ボツですのでもちろん仮題なのですが、もともとが「ところで、うちの子どもが一生懸命『週刊少年なんとか』の『鬼滅のなんとか』を読んでいるのだけど、そんなにおもしろいの?うちでは毎週ホームで一冊買って、子ども6人みんなで回し読みをしているわ」といったおしゃべりからの流れです。役員さんは、30代から70代と、幅広い年齢で構成される男女なのですが、「若いときは○○に熱中した!」「月刊誌少女○○が私の青春だった!」などなど、勉強のためのテーマ選定から大きく脱線して盛り上がりました。「北栄町ゆかり、名探偵コナンの青山剛昌先生に講義をお願いしよう!」という遠大な案も出ましたが、先生はきっと多忙を極めていらっしゃるだろうということでボツになりました。

     マンガやアニメの文化から現代の子どものこころを推察するというテーマは、文学的な研究にとどまらず、心理学的・教育学的にも深く研究されています。近県の大学のある教授は、思春期の子どもの心と、異世界の物語との関係を掘り下げています。例えば、宮崎駿作品では、子ども時代の自分との精神的な別れが暗に描かれているそうです。

     子どもが、好きな作品やキャラクターについて話すことばには、たびたびハッとさせられます。これまで何度も、するどい感受性におどろかされ、深い思慮に感心させられました。

     『ガンダムが好きな人に悪い人はいない』と言った男の子がいました。実際には、ガンダムが好きな人の中にも悪人はいるのでしょうが、綿密に設定された空想の宇宙世紀を舞台に繰り広げられる青春群像と、造形美あふれるロボットの活劇について、熱心に討論できる同好の士は、その子にとって何物にも代えがたい存在なのかもしれません。

     ある女の子は、ある作品の、残虐非道の限りを尽くす敵の総大将のことを「かっこいい!いちばん好き!」と言っていました。確かに、ひときわ強くてスタイリッシュではありますが。。。また他の女子からは『好きな敵役は誰ですか?』と聞かれたこともあります。幼少であれば、おおむね正義の味方を好むものでしょうが、思春期ともなると、登場人物それぞれの立場に想いをはせることで、時には、敵役の心情にこそ共感することがあるのでしょうか。世の中は、単純な勧善懲悪だけで割り切れないことを、未成熟なこころで悟るのでしょうか。

     成長期に良質なメディアを鑑賞し、人の心の機微にふれることは、豊かな人間性を育むと言われています。名作に出会うことは、人生観を変えることもあります。ぼくの今の業務上では、なかなか機会が無いのですが、いつかまた子どもたちと、好きな作品について熱心に討論したいものです。

     


    2020.10.30

  • 整理整頓のこころがけ

    里親支援とっとり 所長 遠藤 信彦

     

       以前、児童養護の要職をつとめられている方に、里親研修の講師をお願いした際、講義の最後に、こんなお話をしてくださいました。

    「児童養護の部門につとめ始めたころ、子どもと家庭のさまざまな困難に向き合うことについて『これはとてもハンパな姿勢で取り組めるものではないな』と痛感し、こころがけを決めようと思い立った。いろいろと勉強してまとめたところ『整理・運動・感謝』の3つに辿り着いた。

    『整理』については、持ち物、ノート、机の上はもちろん、業務内容や根本的な仕事の仕方、生き様、などなどを整理整頓し、なにごともスムーズに効率的に、ことがすすめられるようこころがけている。

    『運動』というのは、身体は、こころのいれものだから、まずいれものがしっかりしていないと、こころが揺さぶられると思った。なので、身体を鍛えることにした。わりあい続けられており、今でも、アマチュアの大会などに出場している。

    『感謝』については、そのままの言葉。うちは仏教の家なので、仏壇を掃除し、線香をたて、唯一覚えている簡単なお経を唱え、いま自分と家族がすこやかでいられること、仕事を続けていられることなどを先祖に感謝している」というお話でした。

     要職をつとめられている方ですから、雲の上の存在のように感じていましたが、わりあい、新任のころに『これはハンパな気持ちでいられない』と思われたところとか、仏壇を磨かれているところなんかを想像すると、なんだか親近感が湧き、自分もこころがけようと思いました。

     『運動』は、『健康』とも言い換えられると思います。『運動・健康』と『感謝』はこころもとないのですが、『整理』についてはがんばって取り組んでいます。いろいろと整理法を読みかじり、『GTD(ゲッティングシングスダン)』というものが気に入っています。気になることや、やらなければならないことを頭の中だけに留めておかず、頭の外の信頼のおける、メモ用紙などに書き出して、信頼のできるコーナー(インボックス、というそうです)にまとめておき、順序を決めたリストの上からひとつずつ取り組む、といったものです。これにより、『あれはどうだったっけ、ああ忘れないようにしなきゃ!?』とか『どこいったっけ?』とか『何からすればいいんだっけ?』といったもやもやに使う、脳とこころの無駄が無くなります。

     また、プライベートでは『コーピングレパートリー』という整理法を使っています。すっきりすること、やりたいこと、わくわくすること、夢中になることなどを100も200も書いたリストを作り、常に見ることができるようにする、というものです。この取り組みは、質より量が重要で、人からみてくだらなかったり、些細なことでもよいそうです。これにより、自分の好きなこと(好きだったこと)、楽しいこと、元気になることを忘れずに済みます。ぼくのリストの中には『ペンギンの動画をみる』『ビールの泡のしゅわしゅわや、缶を開けた時の音、匂いを思い浮かべる』なんてのも入っています。

     最近行った一番の、整理整頓の大仕事は「鳥取県社会的養育推進計画」の準備でした。今後10年かけて子どもたちの最善の利益の追求に取り組むこの計画の準備では、里親さんの意見はもちろん、行政・施設職員のみなさん、さらには、今、里親家庭で暮らしている子どもたちと、里親家庭を巣立って社会で働いている方たちからお聴きした、鳥取県の里親さんの強みと課題をすべて書き出し整理しました。

     誰が何に取り組み、どこから手を付けるのか。当所も、この重要なリストの処理の一端を担います。ペンギンやビールのことばかり考えておらず、気を引き締めなければならないところです。


    2020.09.29