「夫婦は最小単位、最強のチーム」 | 社会福祉法人 鳥取こども学園社会福祉法人 鳥取こども学園

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里親支援とっとりブログ

「夫婦は最小単位、最強のチーム」

 「里親さんの話をさせてください」チラシ-001里親制度について広く県民の方々に知っていただくため、様々なところでお話させていただいています。鳥取県全県の児童福祉や教育、地域づくりに関係していらっしゃる団体において、お話させていただく機会の提供をお願いしています。これまで、100回以上、さまざまな集まりで、お話をさせていただきました。そして、現在は日本海新聞のコラム「潮流」で、「保護を必要とする子どもを育んでいる方々の取り組み」を連載させていただいています。「里親制度のことだけでなく、一般家庭にも役立つような子育てのコツを話して欲しい」というご依頼をいただくことがあります。筆者は、子どもの施設で子ども達とともに生活したことがあります。施設養育の現場を離れて久しく時間が経っていますので依頼について戸惑いました。でも、すぐさま業務で出会った里親さんの姿からお話しようと思い立ちました。
 施設の子育てチームは「考えやテーマを共有すること」を大事にしています。複数の職員が順番に子どもの生活の場で勤務をしていますから、職員相互のセンスの統一が必要不可欠です。子どもの様々な行動は、それまでの経験とつながっていることや、その子に今、何が必要かということ、子どもの暮らしの細やかなことなどを、チームのメンバーがしっかりとすり合わせ共有します。チーム全員が一貫した理念を持った上で、それぞれの役割を持って子どもと接することで、子どもは、揺らぐことなく、守られていることを感じ、自分の行動に見通しを持つことができます。この守られているという実感があるからこそ安心して失敗ができるのです。

 里親は、夫婦が最小単位のチームです。夫婦の他に家族があれば、家族がチームになります。ある里親家庭では、「じいじ(里父)とばあば(里母)はいつもケンカしてるー」と里子に冷やかされながら、実は強いパートナーシップで結ばれている里親、「寝る前に必ず、里子の一日について語り合う里親」「学びの場には、必ず二人でいらっしゃる里親」「朗らかに楽しくお話される里母を、にこやかに静かに見守る里父」「責任ある立場のため、外出することが多い里父が不在の間、しっかりお家を支える里母」「僕が話をするから、君は後でフォローして、というように、子育てのフォーメーション会議がいつもスムーズな里親」などなど、形は様々ですが、どのお家も、養育観をすり合わせ、お互いを信頼し合い、支え合う名チームです。

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 アメリカの家庭教育学者ドロシー・ロー・ノルトは「とげとげした家庭で育つと、子どもは、乱暴になる。和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる」と話されます。子どもは、周りの人間のさまざまなことを真似て成長するそうです。両親や身近な人の間柄をみて、人とのつながり方をまねていくそうです。子どもが将来いろんな人と仲良く過ごし、愛されるようになるために、大人は、信頼し合い支え合う姿を見せる必要があります。ましてや、自分の家庭で暮らせない子どもを、自らの家庭に預かり育てる里親であればなおさらです。

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 学生の頃、愛と平和を祝うため何万もの人が集ったコンサートのライブ録音を好んで聴いていました。コンサートには「伴侶や身近な人との愛が、世界平和につながる」というメッセージがありました。大言壮語に聞こえますが、仲睦まじく、力を寄せあって、未来の希望を育てている、身近な里親さん達の姿を見ていますと、このメッセージは、綺麗なだけのことばではない、決して絵空事ではないと感じます。


2016.07.19