5つのワーキンググループ① コンプライアンスの確認 | 社会福祉法人 鳥取こども学園社会福祉法人 鳥取こども学園

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里親支援とっとりブログ

5つのワーキンググループ① コンプライアンスの確認

 鳥取県では、里親への委託をよりいっそう推進するため、里親と施設、児童相談所の三位一体で、5つに分かれて考えるワーキンググループを作りました。グループの取り組みを、シリーズで書きたいと思います。

 

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 さまざまな事情で、自分の家庭で暮らすことのできない子どもは、地域において家庭的な雰囲気の中で育つことが望まれます。里親家庭はその最たるものです。子どもは、ずっと同じ養育者に見守られて暮らすことで、この人たちは信頼するに足り得て、自分は存在してよく、この世界は良いところだと感じることができます。里親家族や近所の方の、赤ちゃんが生まれ成長し、社会に出て働き、伴侶を得て子を育て、老いて病に伏せり死んでいくといったライフステージを目の当たりにすることで、自分の将来を思い描くことができます。少人数のひと家庭の、さまざまな年代の方と暮らすことで、人との適切な関係の取り方を学ぶことができます。

 しかし、公的な子育てを、地域のひと家庭において行うことには、課題もあります。

 コンプライアンスの確認が必要です。

 鳥取県が里親に子どもの預かりをお願いすることは、『委託措置』といい、鳥取県が責任をもってこう決めましたよという強いことばです。現代の日本社会において、福祉のサービスは、おおむね、利用者と提供者の『契約』により行われていますが、子どもを保護し養護する分野は、『措置』という行政処分によって行われます。保護された子どもが育つための費用のほとんどは、税金によってまかなわれています。

 このため、預かる里親にも、コンプライアンス(法律、制度他、その立場において守るべきことを守ること)の徹底が求められます。家庭に恵まれない子どもに、家庭での生活を提供したい、社会貢献したいというボランタリズムに加えて、自身の家庭において、鳥取県行政の、社会的養護の一角を担うということを認識する必要があるのです。

 児童相談所が定める計画にそって子育てをする必要があります。この計画は、子どもがどういう自分になりたくて、まわりはそれをどう支えていくか、という視点で作られています。

 また、家風を振り返る必要があります。全ての人は、自分が育ったように子どもを育て、どの家庭にも、そのいえいえの家風があります。里親は、自身の育ちと歴史に根ざした、自身の家の家風について、コンプライアンスから離れていないか、常に振り返る必要があります。

 また、連携する必要があります。ひと家庭だけで、その子どもへの責任をすべて負うのではありません。児童相談所や施設とのチーム連携をもって、鳥取県が保護した子どもを育てていきます。

 しかし、児童相談所が、子どもに一日も早く落ち着いた暮らしを提供したいがため、まずは日々の生活を整えたいがために、これらのことの確認がおろそかになってしまうことがあります。伝えるのは、支援者側の責任です。このことについて話し合っています。(5つのワーキンググループ② 制度の周知 に続きます)

 

(この文章は、鳥取こども学園発行学園だより52号の原文です)


2022.11.28